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大阪府吹田市の不妊治療専門クリニックです.。

治療成績topics


令和2年不妊統計
★★ 2020/1〜2020/12 当院の不妊治療成績 ★★





T.不妊治療をこの1年間155名に行い75名(症例別妊娠率48.4%)が妊娠に至りました。 (図1)
 令和2年1月から12月までの1年間に妊娠を希望して当院に来院された方は242名。 
治療が1周期、2周期のみで以後の受診歴がなく経過のわからない方がそれぞれ36名、
20名と血液検査3名、精液検査4名、通気テスト1名の検査のみ受診の8名の計64名を除いた
178名を解析対象としました。
178名から当院での無治療の男性因子11名(無精子症や100万/ml未満の高度乏精子症6名、
500万/ml未満の乏精子症3名、性機能障害2名)、FSHが25以上の早期卵巣不全6名、
両側卵管閉鎖4名、卵管水腫2名の計23名を除いた155名のうち、
妊娠に至った方は75名(症例別妊娠率48.4%)でした。

U.開院以来18年10ヶ月でのべ1,720名が妊娠に至っています。(図1)
 平成14年3月に開院以来、令和2年12月までの18年10ヶ月で、妊娠した方は
平成14年50名、15年57名、16年79名、17年101名、18年80名、19年70名、
20年118名、21年92名、22年106名、23年106名、24年92名、25年102名、
26年101名、27年95名、28年81名、29年108名、30年の102名、
31年から令和1年の105名に令和2年の75名を加えて、
のべ1,720名となりました。
V.治療法別の妊娠は、妊娠に至った75名中、自然周期タイミング療法で28名(妊娠者の
治療法別妊娠率37.3%)、排卵誘発剤投与で47名(62.7%)でした。
なお、排卵誘発剤47名の内訳はクロミフェン(商品名クロミッド)やシクロフェニール(商品名セキソビッド)による
経口投与25名、HMGやFSH等による卵巣刺激注射22名でした。
W.症例別の妊娠は自然周期タイミング療法69名中28名(40.6%)、排卵誘発剤投与180名中47名(26.1%)。 
排卵誘発剤別では経口投与106名中25名(23.6%)、卵巣刺激注射は74名中22名(29.7%)でした。

表1
治療法  症例 周期  妊娠 妊娠率 流産 流産率 多胎  多胎率
自然周期  69 104 28 40.6 2 7.1 0
経口排卵誘発  106 278 25 23.6 11 45.8 0  
HMG or FSH  74 243 22 29.7 3 13.6 4 18.2
 小計  155 625 75 48.4 16 21.3 4 5.3
 AIH   症例  妊娠   妊娠率 流産  流産率 多胎  多胎率
自然周期 症例別 1  1 100 0 0 0 0
周期別 3  1 33.3
経口剤 症例別 14  5 35.7 2 40 0
周期別 25  5 20.0
注射剤 症例別 42  14 33.3 1  7.1 0
周期別 96 14 14.6
総計  症例別 49  20 41.2 3 15.0 2 14.3
周期別  124  20 16.1
       ※同年内において複数の治療を受けた方がおられるので、
個々の治療法別の症例数の合計が、小計を超えることがあります
@自然周期タイミング療法だけで69名中28名(症例別妊娠率40.6%)が妊娠。(表1)
基礎体温表や月経周期からのタイミング指導や超音波検査による卵胞径、子宮内膜厚の測定、子宮頚管粘液性状の確認、尿のLH検査等によるタイミング療法のみで69104周期で28名(症例別妊娠率40.6%、周期別妊娠率26.9%)が妊娠に至りました。

A排卵誘発剤等の薬剤経口投与で106名中25名(症例別妊娠率23.6%)が妊娠。(表1)
 排卵障害や黄体機能不全の方、自然周期タイミング療法のみでは妊娠に至らなかった方々に対し、経口の排卵誘発剤であるクロミフェンやシクロフェニール、その他高プロラクチン血症に対しカベルゴリン(商品名カバサール)、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に対しインスリン抵抗性改善薬であるメトフォルミン(商品名グリコラン)等が投与され、106278周期中25名(症例別妊娠率23.6%、周期別妊娠率9.0%)が妊娠しました。

B卵巣刺激注射で74名中22名(症例別妊娠率29.7%)が妊娠。(表1)
 排卵誘発剤等経口投与でも排卵に至らなかったり、妊娠に至らなかった方々にHMGやFSHなどの卵巣刺激注射が74243周期に行なわれ22名(症例別妊娠率29.7%、周期別妊娠率9.1%)が妊娠に至りました。
X.上記のような一般不妊治療で妊娠に至らない方や、男性因子のある方、フーナーテスト
(性交後試験)不良の方に夫婦間人工授精AIH(artificial insemination with husband’s semen:IUI(intrauterine insemination子宮内精子注入法)またはFSP(fallopian tube sperm perfusion 精子卵管内注入))を59名、124周期に行い20名(症例別妊娠率は33.9%、周期別妊娠率16.1%)が妊娠。(表1)

原因不明不妊の場合、AIHの周期ごと妊娠率は自然周期3.8%、クロミッド周期8.3%、卵巣刺激注射周期17.1%とのデータがありますので、当院ではAIHに対して、原則
クロミッドやセキソビッドもしくは卵巣刺激注射を併用していますが、本年は、自然周期AIHが3名3周期で1名、排卵誘発剤経口投与AIHが14名25周期で5名(症例別妊娠率35.7%、周期別妊娠率20.0%)、卵巣刺激注射AIHが42名96周期で14名(症例別妊娠率33.3%、周期別妊娠率14.6%)が妊娠に至りました。

まとめるとAIH またはFSPを59名、124周期に行い20名(症例別妊娠率は33.9%、周期別妊娠率16.1%)が妊娠。(表1)

なお、男性性機能障害はシアリスの処方やカウンセリング希望のみの2名、両側卵管閉鎖1名、
LHタイミング指導後受診歴のない方1名、チラーヂン処方+卵胞モニター+LHタイミングの1名、セルフシリンジ法1名、
卵胞モニター、LHタイミング+IUI1名、クロミフェン+IUI1名、シクロフェニールFSH+FSP1名の計9名。
そのうちAIH(IUI&FSP)の3名とチラーヂン処方+卵胞モニター、LHタイミングの方が5周期目に自然
妊娠され、当院で治療した男性性機能障害は5名中4名が妊娠されました。


Y.多胎妊娠4名(75名中45.3%)で、4名とも双胎でした。うち2名
一児死亡となりましたが、残存児は順調に経過し分娩に至っています。
 なお、多胎妊娠は4名とも卵巣刺激注射による妊娠で、本年は経口排卵誘発剤による多胎妊娠はありませんでした。
また、4名ともD-D twin (2絨毛膜性双胎)でした。
卵巣刺激注射対象者中多胎妊娠は22名中4名(症例別多胎率18.2%)
AIH対象者中14名中2名(症例別多胎率14..3%)でした。

Z.流産は75名中16名(流産率21.3%)(表1)
 妊娠された75名のうち16名(流産率21.3%)が流産に終わりましたが、
異所性妊娠(子宮外妊娠)0でした。
治療法別では、自然周期タイミング療法では28名中2名(流産率7.1%)、排卵誘発剤等経口投与25名中11名(流産率45.8%)、卵巣刺激注射22名中3名(流産率13.6%)が流産に終わりました。
またAIH妊娠20名中3名(流産率15.0%)が流産に終わりましたが、自然周期では1名中0名、経口排卵誘発剤5名中2名、卵巣刺激注射によるもので14名中1名(7.1%)が流産となりました。