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大阪府吹田市の不妊治療専門クリニックです.。

治療成績topics


平成31年/令和元年不妊統計
★★ 2019/1〜2019/12 当院の不妊治療成績 ★★

T.不妊治療をこの1年間188名に行い105名(症例別妊娠率55.9%)が妊娠に至りました。 (図1)
 平成31年1月から令和1年12月までの1年間に妊娠を希望して当院に来院された方は274名。 治療が1周期のみの33名やカウンセリング・血液検査のみの11名と治療周期が2周期までで且つ以後受診がなく経過の判らない方15名、さらに精液検査のみにて受診された男性5名併せて64名を除いた210名を解析対象としました。
210名から当院での無治療の男性因子11名(無精子症2名や500万/ml未満の乏精子症5名、性機能障害4名)、FSHが25以上の早期卵巣不全7名、両側卵管閉鎖4名の計22名を除いた188名のうち、妊娠に至った方は105名(症例別妊娠率55.9%)でした。
尚、体外受精・胚移植は当院での体外受精にて分娩後の方1名に、凍結・保存していた胚盤胞を2回単胚移植しましたが妊娠に至りませんでした。 なお、1回は妊娠反応が陽性になりましたが、胎嚢の確認には至りませんでした。
U.開院以来17年10ヶ月でのべ1,645名が妊娠に至っています。(図1)
 平成14年3月に開院以来、平成30年12月までの16年10ヶ月で、妊娠した方は、平成14年50名、15年57名、16年79名、17年101名、18年80名、19年70名、20年118名、21年92名、22年106名、23年106名、24年92名、25年102名、26年101名、27年95名、28年81名、29年108名、30年の102名、31年から令和1年の105名を加えて、のべ1,645名となりました。

V.治療法別の妊娠は、妊娠に至った105名中、自然周期タイミング療法で37名(妊娠者の
治療法別妊娠率35.2%)、排卵誘発剤等投与で68名(64.8%)でした。
なお、排卵誘発剤68名の内訳はクロミフェン(商品名クロミッド)やシクロフェニール(商品名セキソビッド)による経口投与37名、HMGやFSH等による卵巣刺激注射31名でした。

W.症例別の妊娠は自然周期タイミング療法94名中37名(39.4%)、排卵誘発剤投与196名中68名(34.7%)。 排卵誘発剤別では経口投与121名中37名(30.6%)、卵巣刺激注射は75名中31名(41.3%)でした。
 表1
治療法 症例 周期  妊娠 妊娠率 流産 流産率 多胎  多胎率
タイミング 94 134 37 39.4 6
16.2 0 0
排卵誘発剤(経口) 121 316 37 30.6 6 16.2 2  5.4
hMG or FSH 75 293 31 41.3 8 25.8 0 0
 小計 187 743 105 56.1 20 19.0 2
1.9
体外受精 1 2 0 0 0 0 0 0
総計 188 745 105 59.0 20 19.0 2 1.9 
 AIH  症例  妊娠   妊娠率 流産  流産率 多胎  多胎率
自然周期  症例別 1  1 0 0 0 0 0
周期別 1  1 0 0 0 0 0
経口剤   症例別 15  3 20.0 0 0 1 33.3
周期別 20  3 15.0 0 0 0 0
注射剤   症例別 22  17 77.3 2  17.6 0 0
周期別 105 17 16.2 0 0 0 0
総計  症例別 51  21 41.2 3 14.3 1 4.8
周期別 105  21 5.0
       ※同年内において複数の治療を受けた方がおられるので、
個々の治療法別の症例数の合計が、小計を超えることがあります
@自然周期タイミング療法だけで94名中37名(症例別妊娠率39.4%)が妊娠。(表1)
 基礎体温表や月経周期からのタイミング指導や超音波検査による卵胞径、子宮内膜厚の測定、子宮頚管粘液性状の確認、尿のLH検査等によるタイミング療法のみで94名134周期で37名(症例別妊娠率39.4%、周期別妊娠率27.6%)が妊娠に至りました。

A排卵誘発剤等の薬剤経口投与で121名中37名(症例別妊娠率30.6%)が妊娠。(表1)
 
排卵障害や黄体機能不全の方、自然周期タイミング療法のみでは妊娠に至らなかった方々に対し、経口の排卵誘発剤であるクロミフェンやシクロフェニール、その他高プロラクチン血症に対しカベルゴリン(商品名カバサール)、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に対しインスリン抵抗性改善薬であるメトフォルミン(商品名グリコラン)等が投与され、121名316周期中37名(症例別妊娠率30.6%、周期別妊娠率11.7%)が妊娠しました。

B卵巣刺激注射で75名中31名(症例別妊娠率41.3%)が妊娠。(表1)
 排卵誘発剤等経口投与でも排卵に至らなかったり、妊娠に至らなかった方々にHMGやFSHなどの卵巣刺激注射が75名293周期に行なわれ31名(症例別妊娠率41.3%、周期別妊娠率10.6%)が妊娠に至りました。

C
体外受精・胚移植は凍結融解胚移植を1名(以前に当院での体外受精にて妊娠・分娩後、保存していた凍結胚を移植した1名)に2周期行いました。1周期で妊娠反応が陽性になりましたが、胎嚢の確認はできませんでした。

X.上記のような一般不妊治療で妊娠に至らない方や、男性因子のある方、フーナーテスト
(性交後試験)不良の方に夫婦間人工授精(AIH:IUI(intrauterine insemination with husband’s semen)またはFSP(fallopian tube sperm perfusion 精子卵管内注入))を51名、105周期に行い21名(症例別妊娠率は41.2%、周期別妊娠率16.2%)が妊娠。(表1)

原因不明不妊の場合、AIHの周期ごと妊娠率は自然周期3.8%、クロミッド周期8.3%、卵巣刺激注射周期17.1%とのデータがありますので、当院ではAIHに対して、原則クロミッドやセキソビッドもしくは卵巣刺激注射を併用していますが、本年は、自然周期AIHが1周期で1名、排卵誘発剤経口投与AIHが15名20周期で3名(症例別妊娠率20.0%、周期別妊娠率15.0%)、卵巣刺激注射AIHが22名105周期で17名(症例別妊娠率77.3%、周期別妊娠率16.2%)が妊娠に至りました。
まとめるとAIH またはFSPを51名、105周期に行い21名(症例別妊娠率は41.2%、周期別妊娠率16.2%)が妊娠。(表1)
なお、性機能障害3名の方に1名は精液膣内自己注入-(セルフシリンジ)法、残り2名は自然周期+AIH1名、
クロミフェン+AIH1名を行いAIHの2名が妊娠に至っています。

Y.多胎妊娠は2名(105名中2名1.9%)で、2名とも双胎でした。

 2名ともクロミフェン療法による妊娠で、本年はHMG療法による多胎妊娠はありませんでした。
また、2名ともD-D twin(2絨毛膜性双胎)でした。
クロミフェンからみると多胎妊娠は121名316周期中2名(症例別多胎率1.7%、周期別多胎率0.6%)。
AIHからみるとクロミフェンでは3名20周期中1名(症例別多胎率33.3%、周期別多胎率5.0%)でした。

Z.流産は105名中20名(流産率19.0%)(表1)
 妊娠された105名のうち20名(流産率19.0%)が流産に終わりましたが、異所性妊娠(子宮外妊娠)は0でした。
治療法別では、自然周期タイミング療法では37名中6名(流産率16.2%)、排卵誘発剤等経口投与で37名中6名(流産率16.2%)、卵巣刺激注射で31名中8名(流産率25.8%)が流産に終わりました。
また、AIH妊娠21名中3名(流産率14.3%)が流産に終わりましたが、自然周期では1名中0名、経口排卵誘発剤は3名中0名でしたので、流産は全員卵巣刺激注射によるもので17名中3名(17.6%)が流産となりました。

卵管疎通性検査後、半年以内に102名中41名(妊娠率40.2%)が妊娠。
 通気・通水テストや子宮卵管造影検査(HSG)を30年7月から令和1年12月までに(治療周期が2周期未満で経過のわからない患者は省く)109名に行いましたが、両側卵管閉鎖4名を除いた105名中43名(41.0%)が半年以内に妊娠し、しかも検査同月または翌月に22名(妊娠者中51.2%)が妊娠に至りましたので、クリニックでの一般不妊治療における卵管疎通性検査の重要性が今年も再確認されました。