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●不妊治療をこの1年間193名に行い92名(47.7%)が妊娠に至りました。 (図1) 平成24年1月から平成24年12月までの1年間に妊娠を希望して当院に来院された方は312名。
治療が1周期のみの40名や不妊相談(カウンセリング)のみの18名を含む治療周期が3周期未満で経過の判らない方94名を除いた218名を解析対象としました。
218名から男性因子20名(内訳は無精子症5名、乏精子症3名、運動率が10%未満の精子無力症12名、)、早期卵巣不全(早発閉経)2名、治療中に閉経した2名、両側卵管閉鎖1名の計25名を除いた193名のうち、妊娠に至った方は92名(妊娠率47.7%)でした。
生殖補助医療である体外受精・胚移植による7名中4名の妊娠を除くと、一般不妊治療では186名中88名(47.3%)が妊娠に至りました。
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●開院以来10年10ヶ月でのべ951名が妊娠に至っています。(図1) 平成14年3月に開院以来、平成24年12月までの10年10ヶ月で、妊娠した方は
平成14年度50名、15年度57名、16年度79名、17年度101名、18年度80名に、
平成19年4月から12月末までの70名(平成19年1年間では89名)の計437名に
平成20年の118名と21年の92名、22年の106名、23年の106名、24年の92名を加えて、
のべ951名となりました。。
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◆治療法別の妊娠は、妊娠に至った92名中、タイミング゙療法で40名(43.5%)、排卵誘発剤等投与で48名(52.7%)、体外受精胚移植4名(4.4%)でした。
排卵誘発剤別では経口投与で40名(44.0%)、卵巣刺激注射が8名(8.8%)でした。(図2)
◆治療法別妊娠率はタイミング療法102名中40名(39.2%)、排卵誘発剤等経口投与は129名中40名(31.0%)、卵巣刺激注射は45名中8名(17.8%)、体外受精胚移植は7名中4名(57.1%)でした。
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表1
治療法 |
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症例 |
妊娠 |
妊娠率 |
流産 |
流産率 |
多胎 |
タイミング |
102 |
40 |
39.2 |
6 |
15.0 |
0 |
排卵誘発剤(経口) |
129 |
40 |
31.0 |
6 |
15.0 |
3
(双胎3 流産0)
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hMG or FSH |
45 |
8 |
17.8 |
3 |
37.5 |
0 |
小計 |
186 |
88 |
47.3 |
15 |
17.0 |
3 |
体外受精 |
新鮮胚 |
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6 |
2 |
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1 |
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0 |
融解胚
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5 |
2 |
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1 |
|
0 |
小計 |
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7 |
4 |
|
2 |
|
0 |
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全計 |
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193 |
92 |
47.7 |
17 |
18.5 |
3 |
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AIH 症例別 |
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32 |
7 |
21.9 |
1 |
14.3 |
1 |
周期別 |
56 |
7 |
12.5 |
1 |
14.3 |
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●タイミング療法だけで102名中40名(妊娠率39.2%)が妊娠。(表1)
タイミング指導のみや超音波検査による卵胞径、子宮内膜厚の測定、子宮頚管粘液性状の
確認、尿のLH検査等によるタイミング療法のみで102名中40名(妊娠率39.2%)が妊娠に至りました。
●排卵誘発剤等経口投与で129名中40名(妊娠率31.0%)が妊娠。(表1)
排卵障害や黄体機能不全の方、タイミング療法のみでは妊娠に至らなかった方々に対し、
経口の排卵誘発剤であるクロミフェン(商品名クロミッド)やシクロフェニール(同セキソビッド)、高プロラクチン血症に対しその治療薬であるカベルゴリン(同カバサール)、また多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に対して
インスリン抵抗性改善薬であるメトフォルミン(同グリコラン)等が投与され、129名471周期中40名(症例別妊娠率31.0%、周期別妊娠率8.5%)が妊娠しました。
●卵巣刺激注射で45名中8名(17.8%)が妊娠。(表1)
排卵誘発剤等経口投与でも排卵に至らなかったり、妊娠に至らなかった方々にhMGやFSHなどの卵巣刺激注射が45名161周期に行なわれ8名(症例別妊娠率17.8%、周期別妊娠率5.0%)が妊娠に至りました。
●体外受精胚移植は7名に13周期行い4名(胚移植あたり妊娠率30.8%)が妊娠(表1)
体外受精胚移植は6名に新鮮胚移植を8周期を行い2周期が妊娠(胚移植あたり妊娠率25.0%)、5名に凍結胚盤胞移植を5周期行い2周期(胚移植あたり妊娠率40.0%)で妊娠に至りました。全体として7名に13周期行い4名(胚移植あたり妊娠率30.8%)が妊娠に至りました。
X.多胎妊娠は3名。 (表1)
排卵誘発療法の副作用ともいえる多胎妊娠は3名(92名中3名3.3%)で3名とも
双胎でしたが、すべてがクロミッド゙(排卵誘発剤経口投与40名中3名7.50%)によるものでした
Y.夫婦間人工授精(AIH)を32名56周期に行い7名が妊娠。(表1)
(症例別妊娠率21.9%、周期別妊娠率12.5%)
タイミング療法や排卵誘発療法に併せてIUI(intrauterine insemination 子宮内人工授精) やFSP(fallopian
tube sperm perfusion 卵管内精子注入) などのAIH(artificial insemination with husband's
semen 夫婦間人工授精)を32名56周期に行い7名(症例別妊娠率21.9%、周期別妊娠率は12.5%)が妊娠に至っています。
なお、FSPは1周期に行いましたが、その際に腹腔内感染を起こしました。
また、FSPに関する8つのRCT(ランダム化比較試験)で原因不明不妊女性でIUIより高い
妊娠率が得られるとは証明できなかったとの報告から、以後FSPを中止しました。
排卵誘発剤等経口投与+AIHは17名34周期に行い3名(症例別妊娠率17.6%、周期別妊娠率8.8%)が妊娠に至り、1名が双胎妊娠でした。
卵巣刺激注射+AIHは21名44周期に行い4名(症例別妊娠率19.0%、周期別妊娠率9.1%)が妊娠に至り多胎妊娠はありませんでした。
Z.流産は92名中15名(流産率16.3%)(表1) 妊娠された92名のうち15名(流産率16.3%)が流産に終わりましたが、子宮外妊娠は1名(1.1%)、染色体異常の45Xが1名、胎児奇形が1名でした。
治療法別では、タイミング゙療法では40名中6名(流産率15.0%)、排卵誘発剤等経口投与で40名中6名(流産率15.0%内1名は子宮外妊娠)、卵巣刺激注射で8名中3名(流産率37.5%)が流産となりました。
またAIH妊娠7名中1名(流産率14.3%)が流産に終わりましたが、経口排卵誘発剤+AIH3名では流産はなく、卵巣刺激注射+AIH4名中1名(25.0%)が流産となりました。
[.卵管疎通性検査後、半年以内に76名中33名(妊娠率43.4%)が妊娠。
通気テストや子宮卵管造影検査(HSG)などの卵管疎通性検査を
23年7月から24年12月までに通気テスト124名、HSG 4名の計128名に行いましたが、
治療中に閉経に至った1名、男性因子7名、治療が3周期未満で結果の判らない25名、
さらに疎通性検査施行後6か月以上経過していない19名、計52名を除いた76名で、
検査後半年以内に33名(43.4%)が妊娠に至りましたので、
一般不妊治療における卵管疎通性検査の重要性が再認識されました。
なお、通気テスト後半年以内の妊娠は75名中32名(42.7%)、HSGでは1名中1名となっています。
\.卵管疎通性検査後、半年以内に87名中36名(妊娠率41.4%)が妊娠。
通気テストや子宮卵管造影検査(HSG)などの卵管疎通性検査を22年7月から23年12月までに通気テストのみ88名、HSGのみ19名、両者とも施行3名の計110名に行いましたが、両側卵管閉鎖4名、男性因子3名、検査後3周期以内で経過の判らない16名の計23名を除いた87名で、検査後半年以内に36名(41.4%)が妊娠に至りましたので、一般不妊治療における卵管疎通性検査の重要性が再認識されました。
なお、通気テスト後半年以内の妊娠は72名中24名(33.3%)、HSGでは18名中12名(66.7%)となっています。
].体外受精・胚移植を7名に13周期行い4名が妊娠に至りました。 一般不妊治療で妊娠に至らなかった3名と両側卵管閉鎖の方4名に体外受精・胚移植をおこないました。新鮮胚移植は6名に8周期、凍結融解胚移植は5名に5周期行い、新鮮胚移植で2周期(胚移植あたり妊娠率25.0%)、凍結融解胚盤胞移植で2周期(胚移植あたり40.0%)が妊娠に至りましたが、それぞれで1名ずつ流産に終わりました。
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